当院で診療している主な治療
症状
- 一部または全身の関節が痛い。
- 朝に手を握ることが困難になる(こわばる)。
- 症状が進むと関節の変形を生じる。
関節リウマチ
関節リウマチは関節炎を主な特徴とする慢性炎症性疾患です。肺・神経・血管などの関節以外の臓器にも病変が波及しうる全身性疾患でもあります。
関節炎が遷延しますと、関節破壊が進行し、より重症な身体機能障害と生活の質の低下を来します。
関節リウマチの推定患者数は70万人と言われており、日本人の0.5%と稀でない疾患です。近年、高齢発症の関節リウマチ患者さんが増加しております。視診・触診・胸部聴診などの診察後、血液検査や罹患部位のレントゲン検査・関節の超音波検査にて、関節リウマチかどうかの診断をします。
関節リウマチだと診断が確定しましたら、多くの場合で、MTX(メトトレキセート)を中心とする抗リウマチ薬による内服薬での治療をいたします。効果が小さいと判断した際には、注射による治療(生物学的製剤、JAK阻害薬)を行うことがあります。
当院では、日本リウマチ財団登録医、日本整形外科学会認定リウマチ医であるという矜持を持ち、日本リウマチ学会から出版されております関節リウマチ診療ガイドライン2020、メトトレキサート(MTX)使用と診療の手引き2023年版に則り診療を行います。
当院の看護師は、公益財団法人日本リウマチ財団登録リウマチケア看護師の資格を保有しておりますので、より一層、関節リウマチ患者さんに寄り添う診療をさせていただけると考えております。
メトトレキセートはリウマチ診療において8割の患者さんが使用することになる薬剤ですが、妊娠中の女性には禁忌となるなど、処方にあたっては、注意点が多くあります。関節リウマチと診断がつきましたらば、投与開始前に疾患活動性の評価ならびにメトトレキセートの副作用危険因子の評価に必要な問診と診察、炎症マーカー、末梢血液検査、生化学検査、免疫血清学的検査、尿一般検査、胸部単純レントゲン検査、両手レントゲン検査などの症状がある関節のレントゲン検査に加え、結核のスクリーニング検査(ツベルクリン反応検査、インターフェロンγ遊離試験)と肝炎ウイルス(HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HCV抗体)検査などを実施いたします。服用にあたりましては、口内炎や吐き気、肝機能障害、帯状疱疹の発現、骨髄障害など副作用などが多く報告されている薬剤ですので、十分な説明と同意を得たのち、メトトレキセートの同意書にサインをいただいてからの治療となります。投与開始後は、安全性と有効性のモニタリングのために定期的な検査(血液・尿・レントゲン・エコー)、身体評価および関節評価を行います。血液・尿検査はメトトレキサート投与開始後あるいは増量後、3カ月以内は2~4週ごとに行うことが望ましいとされています。有効性と安全性が確認され、メトトレキセートの投与量が安定した場合には検査間隔を4~12週ごとに延長することも可能ですが、その際には慎重に決定いたします。胸部単純レントゲン検査、手・指などの罹患関節レントゲン検査は年1回程度施行いたします。
関節リウマチは関節だけに病変がとどまらず、肺にも病気を合併することがあります。間質性肺炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、深在性真菌症、非結核性抗酸菌症などの肺疾患の合併を疑いました場合には、血中酸素飽和度の測定に加えて、肺機能検査や胸部高分解能CTの撮影が必要になる場合があります。そのような時には、連携の呼吸器内科専門医にご紹介いたします。
現在のところ、関節リウマチは、完治は難しいものの症状の進行を遅らせたり、痛みを和らげたりすることができる疾患になってまいりました。20年前と比べて、多くの薬剤が発売されたこともあり、10%の人で薬を使わなくてもコントロールができる状態(緩解)にまで持っていくことができると言われております。
関節リウマチ診療は早めの診断・治療が重要です。手の指のこわばりをはじめ、首、肩関節、肘関節、股関節、膝関節、手関節、指関節、足関節、足趾など、全身の様々な関節に痛みや変形が現れる病気ですので、痛みや関節の腫れなどの症状がありましたら、関節リウマチかもしれないと疑い、早めの受診にて診察・検査をいたしましょう。
当院での治療目標は、疾患活動性の低下および関節破壊の進行抑制を介して、長期予後の改善、特に日常生活の質の最大化と生命予後の改善を目指し、関節リウマチ患者さんに寄り添い、ともに歩んでいくことです。一緒に頑張りましょう。
関節リウマチ患者さんからの日常生活についての質問にお答えします
Q.食事で気を付けることはありますか?
関節リウマチは、食事や食材により病気をよくしたり、悪くさせたりすることが確立されているものはありません。しかし疾患活動性が高いと、全身のエネルギーを消耗し、貧血や倦怠感も生じますので、無理をしないことです。
エネルギーの確保は重要ですので、糖質・脂質・タンパク質・ミネラル・ビタミンなどバランスの良い食事を規則正しく摂取しましょう。関節リウマチの患者さんでは、慢性炎症によりタンパク質の分解が活発になっています。また痛みに伴う食欲の減退や、運動量の減少なども起こりやすいので全身の筋肉量が低下しやすい傾向にあります。筋肉量の維持のためには適度な運動とともに、良質なたんぱく質の摂取が不可欠です。
タンパク質を多く含む食事としては、肉・魚・納豆・豆腐・牛乳・チーズなどです。
次に、意識していただきたいことは、オメガ3系脂肪酸を多く含む食品をとることです。
魚介類や魚油に含まれるオメガ3系脂肪酸<α-リノレン酸、エイコサペンタン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)など>はそれらが持つ抗炎症作用により、関節の痛みなどを改善する可能性があることが示唆されています。
一番のお勧めは、アトランテックサーモンです。ほかには、鯖・鰯・鰤などの青魚、牡蠣、えごま油、亜麻仁油などがオメガ3系脂肪酸を多く含んでいますので、価格はやや高いですが、食生活に積極的に取り入れてみてください。もし痛み止めを内服されているのであれば、その種類や量を減らすことができるかもしれません。
関節リウマチは中高年の女性に多い疾患ですが、骨粗しょう症の合併リスクも高いことが知られています。骨粗しょう症対策は重要ですので、当院では、骨密度検査と採血による骨代謝マーカーも同時に測定し、骨粗しょう症の早期発見・治療に努めています。一日当たりの必要総カルシウムは1000mgと言われておりますので、カルシウムを多く含む食材を摂取することはもちろんですが、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも同時に摂取していただきたいところです。
【カルシウムを多く含む食材例】 ひじき・わかめなどの海藻類、ホウレンソウ・小松菜・人参・ピーマンなどの緑黄色野菜・牛乳やチーズなどの乳製品、小魚など
また、関節リウマチでは、貧血を合併する患者さんも多くおられます。貧血には様々な原因がありますが、鉄分が不足する貧血の場合には、当然ながら鉄分を多く含む食品の摂取が重要です。ビタミンCには鉄分の吸収を助ける働きがありますので、一緒に摂取すると効率的です。しかし、緑茶、紅茶、珈琲などタンニンを多く含む食品は鉄の吸収を阻害しますので、注意が必要です。
【鉄分を多く含む食材例】 レバー、ひじき、貝類、ホウレン草など
【ビタミンCを多く含む食材例】 ブロッコリー、果物類、ピーマン、カリフラワーなど
しかし、このようなことを気にしすぎるあまり、食べ過ぎになることがありますね。
関節リウマチと診断された患者さんでは、治療初期の短い期間だけですが、痛みのコントロールを目的に、副腎皮質ステロイド薬を処方することがあります。ステロイド薬の内服で、食欲が時に亢進することがあります。過度な体重増加では膝関節や足関節への負担が増加し、下肢の関節の痛みが悪化することがありますので、注意しましょう。
Q.お酒は飲んでもいいですか?
アルコールに関しては、肝臓への負担を考えて、適量にとどめることが望ましいとされています。純エタノールで1日当たり20gまでが健康を維持する適量とされていますが、関節リウマチの患者さんでは、疾患活動性が高い場合、アルコール摂取で血流がよくなりすぎると炎症の悪化を誘発しますので、飲酒は控えることが望ましいとされています。
Q.禁煙はすべきですか? タバコはおいしいです。
疫学的な調査によると、喫煙者は非喫煙者よりも1.64倍、関節リウマチを発症しやすいと言われています。関節リウマチ患者さんに特異的な抗体として抗環状シトルリン化抗体(ACPA)というものがあります。関節リウマチを疑った患者さんでは、採血にて測定する非常に重要な項目のうちの一つです。ACPA陽性の関節リウマチ患者さんでは、陰性の患者さんと比べて関節破壊や関節炎が進行しやすいです。しかし、ACPA抗体が陽性になるだけでは関節炎は起こりません。関節炎が起こるには自己抗体産生に引き続く何らかのきっかけが必要になります。そのきっかけとして、喫煙が考えられているのです。禁煙の継続は難しいですが、患者さん本人の意思が最も重要です。禁煙に成功するタイミングは関節リウマチの治療開始時と言われています。
禁煙によってACPA陽性関節リウマチの発症リスクが低下します。禁煙は発症リスクを完全に0にするものではありませんが、喫煙により関節の腫れや痛みの増強が報告されています。また、喫煙することは、メトトレキセートなどの治療薬の反応性も低下させることが分かってきています。骨密度も優位に低下させますので、禁煙していただく事で、病的骨折が起こりにくくなることが期待できるでしょう。
当院では、医師には切り出せない患者さんの様々な疑問に、看護師が処置室でお答えし、治療に最適な環境の構築を意識しております。それが、最終的にはリウマチ患者さんの治療結果の最適化につながることだと信じております。
日々、疑問に思われた日常生活に関するどんな些細な事でも、医師と看護師になんでも質問してください。関節リウマチ患者さんからの質問を診察室でお待ちしております。
コンタクト
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- 四日市泊駅西整形外科 腰痛頭痛クリニック
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