四日市泊駅西整形外科腰痛頭痛クリニック

重要なお知らせ
12月 1月

腰部脊柱管狭窄症

こんな方に

1.何が起きる病気か(定義と原因)

脊柱管狭窄症は脊髄や神経根が通る「脊柱管」が狭くなり、神経が圧迫されて起きる症状の総称です。原因は加齢による椎間板の変性、椎間関節(ファセット)の肥厚、靭帯(黄色靭帯)の肥厚、骨棘などの変化が主です。先天的に狭いタイプもあります。画像(MRI)で脊柱管の狭小化が確認できますが、画像で狭いところがある=必ず症状が出るとは限りません(臨床所見との照合が重要です)。
腰部脊柱管狭窄症

2.典型的な症状(臨床像)

神経性間欠跛行(neurogenic claudication):歩くと腰〜臀部〜下肢に痛み・しびれ・重だるさが出て、座る(前かがみ)と楽になるのが特徴。
血管性の間欠跛行と違い「前かがみで改善する」点が鑑別の手がかりです。
腰痛、片側または両側の坐骨神経領域痛(放散痛)、感覚障害、筋力低下(重度では排尿・排便障害=馬尾症候群の徴候)。
症状の重さは神経の圧迫部位と程度、罹病期間によりさまざまです。

3.好発年齢・頻度(疫学)

一般に中高年(多くは50代以上、特に60歳以上)に多く見られ、加齢とともに頻度が増加します。高齢社会で有病率は上がっていると報告されています。症状の有病率や重症度は研究によって差がありますが、歩行できる距離の制限を訴える人が多くおみえです。

4.診断の流れ

  1. 問診:歩行での症状、安静での軽減、排尿障害の有無。
  2. 神経学的診察:筋力・感覚・腱反射をチェックいたします。
  3. 画像検査:レントゲンとMRIが最も有用。CTを追加することもあります。しかし重要なことは、これらの画像検査は診断の参考程度のものであり、治療方法の判断は総合評価にて行います。
    腰部脊柱管狭窄症
    腰部脊柱管狭窄症
    腰部脊柱管狭窄症

5.保存療法(まず試すこと)とそのエビデンス

ガイドライン(系統的レビュー)では、軽〜中等度の症状ではまず保存的治療を行うことが推奨されています。
具体的には:

6. 手術の適応(いつ手術を考えるか)

手術は以下のような場合に検討されます(一般的な指標)

7.手術の種類(整形外科医が行う一般的な方法)

8.術後の経過(一般的な流れとエビデンスに基づく予想)

入院〜退院

小〜中規模の減圧術では入院日数は国や施設で差がありますが、短期入院(数日から1週間程度)が一般的になってきています。
合併症がない場合は早期起立と歩行訓練を行います。

短期(術後数週間〜3カ月)

多くの患者さんが術後数週間で下肢痛の改善を自覚することが多いです。術後1〜3カ月で機能・痛みの大幅改善が見られる症例が多いという報告があります。早期リハビリ(理学療法)は疼痛・機能改善に寄与するとする研究結果が出ています。

中期〜長期(1年〜5年)

多くの研究で、手術は術後1年時点で疼痛・機能を有意に改善することが示されています。5年経過しても改善が持続する患者さんが多い一方で、時間の経過と共に一部の機能改善が薄れる場合や再手術が必要となる場合(再狭窄、隣接椎間障害、感染など)もあります。
術後の社会復帰や満足度は術前の状態(重症度、慢性化の程度、合併症)に左右されます。

合併症の例

脱髄(硬膜損傷による髄液漏)、感染、血栓、神経症状の悪化、出血、固定術の場合は非癒合(pseudoarthrosis)などがあります。
合併症率は患者背景や術式によって異なりますので、主治医から合併症に関しては特に術前に説明を受けていただくことが最重要でしょう。

9.術後リハビリ・生活上の注意

10.患者さんへの現実的な期待値(まとめ)

参考(読みやすい原典・レビュー)

最後に(私が整形外科医として伝えたいこと)

脊柱管狭窄症は「年齢を重ねれば、誰でもなる可能性のある原因不明」の疾患ですが、症状の出方・重症度・生活への影響は個人差が大きいです。まずは症状の程度と日常生活への影響を丁寧に評価し、保存療法で効果を見ながら、必要なら手術を含めた治療方針を患者さんと一緒に決めるのが安全で現実的なアプローチでしょう。レントゲンやMRIなどの画像だけに頼らず、臨床的な問題点と診察所見と患者さんの生活障害の程度を重視して、整形外科専門医・脊椎指導医と一緒に治療方針を決めましょう。