圧迫骨折
圧迫骨折とは?
背骨(椎体)が押しつぶされてつぶれる骨折です。特に高齢者や骨粗しょう症のある女性に多く、体をひねったり、咳・くしゃみ、軽い転倒などのわずかな衝撃でも起こることがあります。
「知らないうちに折れていた」という意味で「いつのまにか骨折(脆弱性骨折)」 と呼ばれます。
なぜ起こる?
主な原因
- 骨粗しょう症
- 加齢による骨の脆弱化
起こしやすくする基礎疾患
- 糖尿病
- リウマチ
- 慢性腎臓病
- 副腎皮質ステロイド(プレドニゾロンなど)長期内服
- パーキンソン病
- COPD(慢性肺疾患)
- 甲状腺機能亢進症 → 手術が必要になる場合があります
- 低栄養
どんな症状?
典型的には
- 背中~腰の急な痛み
- 立つ、座る、寝返りなどで痛み増強
- 背中が丸くなる(亀背)
しかし…
痛みがほとんどない圧迫骨折もあります
- 骨密度が低い方
- 多発して背骨が徐々に変形する場合
- 疲れやすい、身長が縮んだだけで気づくケースも多い
「骨卒中」との関係は?
近年、圧迫骨折は「骨卒中」(骨の脆弱性により起こる急性イベント)と呼ばれることがあります。
脳卒中が血管の突然のトラブルなら、骨卒中は骨の突然の破綻というイメージです。
以下の観点から重要視されています。
- 骨折が起きやすい
- 連鎖的に次の骨折が起こる
- 要介護状態に近づきやすい
診断方法
X線(レントゲン)
- 椎体のつぶれ(前方だけが低くなる「楔形」など)が分かる
- 新しい骨折か古い骨折かは分かりにくいことがある
MRI(非常に重要)
- 新しい圧迫骨折かどうかが明確に分かる
- 骨の中の浮腫(むくみ)が明るく写る
- 多発の確認がしやすい
どのくらい多い?(有病率)
- 70歳以上の女性で3人に1人以上
- 男性でも加齢とともに増加
- 80歳以上では約50%が一度は経験するといわれるほど頻度が高い
治療方法
1.保存療法(多くはこれ)
- 急性期のみ安静(ただし寝たきりにならないよう注意)
- 新鮮骨折の場合はコルセット
- 痛み止めの内服をする場合もあります
- 骨粗鬆症治療薬(後述)
- 歩行訓練(1番重要)
痛みは4〜12週間ほどで改善することが多いです。
2.内服(または注射)での治療
圧迫骨折を起こした場合、再発予防のために骨粗しょう症治療薬が必須です。
- ビスホスホネート(アレンドロネート、リセドロネートなど)
- デノスマブ(注射)
- テリパラチド(骨形成促進)
- ロモソズマブ(骨形成+骨吸収抑制)などの薬物を使用して次の骨折が起こらないようにします。
3.手術になることはある?
あります。以下の場合に検討します。
- 強い痛みが何週間も続く
- 背骨のつぶれがひどく、神経を圧迫して足のしびれ・麻痺がある
- 椎体が不安定になっている
手術例:
- BKP(バルーン後弯矯正術)
- VP(椎体形成術)
- まれに固定術
普段から気をつけたいこと
-
転倒予防(滑り止め、防滑靴、手すり)
筋力トレーニング(特に背筋・大腿四頭筋)
カルシウム・ビタミンD
日光浴
室内の段差整理
正しい姿勢を意識
痛みがなくても圧迫骨折はありえる?
はい、よくあります。
MRIで偶然見つかる例もあり、
- 軽微な痛みで済む
- 慢性的な変形で気づかない
- 別の部位の痛みに注意が向く
といった理由があります。
治療を継続するためのモチベーション維持方法
圧迫骨折は「1度起こすと次の骨折のリスクが5倍以上」に増えます。「ドミノ骨折」を起こさないことです。
継続治療のモチベ―ション維持には次が有効です。
1.定期的に骨密度を計測し「数値の改善」を確認
→ 効果が見えると続けやすい。1年に1回で充分でしょう。
2.サプリではなく「治療薬」を使う
→ 予防ではなく「骨折治療の一環」と考えると目的意識が明確に。
3.未来のリスクを正しく知る
圧迫骨折が増えると
- 介護負担が増える
- 歩行能力低下
- 生活の自由度が制限
につながるため、治療は生活の自由を守る投資と考えると続けやすいです。
4.医師と相談して副作用が少ない薬に変更
不安が減るほど継続率が上がりますので、不安なことがあれば診察室にてご相談ください。
骨粗鬆症の内服薬は用法容量をまもり、ずっと長く継続していただく事が何よりも次の骨折をおこさないために重要です。


